2009年5月2日土曜日

コンセプト2: みんなのいえ(「場」としての家)

みらいのいえコンセプト紹介(全3回)の2回目です。

みらいのいえ2: みんなのいえ(「場」としての家)

家や土地を所有しているのは、まぎれもなく家族です。いや、もっと限定的にいえば、法的には家主のもの、と私たちは当然のように考えてしまいます。でも、下でご紹介する、「本当にそうかな?」と感じたいくつかのことから、私たちはこの「みらいのいえ」を「みんなのいえ」にしたい、そう思うようになりました。

ふと感じた疑問1: 自然ゆたかな敷地には多種多様な生物が住んでいます。三浦という温暖な場所柄もありますが、本当にびっくりするぐらい多様でして、見たこともないような虫や植物に出会います。彼らのほとんどは、私たちがこの土地と出会う、はるか昔から、この土地と共に暮らしているわけです。人間界で取り交わしている「売買契約」を、彼らはどう見ているんだろう? そもそも人間(所有者)が持つその土地を自由にしていい「権利」っていかほどのものなんだろう。建築基準法やら、風致地区の規制やら、人間が決めた基準やルールを守りさえすればいいのだろうか?

ふと感じた疑問2: 人間の家というのは、なぜ存在するのでしょう。長い長い人間の暮らし(歴史)の中で、家は何に使われて来たのでしょうか。そして、それは未来にどんな変化をもたらすのでしょう。鳥類やほ乳類の動物は「巣」をつくります。「巣」とはいわば、羽を休める場所であり、かつ、子供を産み育てるための場所です。人間の家も「巣」の側面を持っています。しかしながら、それだけではないのが人間の家。はたらく、あそぶ、表現する、出会う。つまり、「巣」だけでなく、「場」としての家があるのではないでしょうか?

ふと感じた疑問3: 私も少し前までマンションに住んでいましたが、マンションや集合住宅に住んでいると、やたらと、「専有部分」と「共有部分」などの言葉が出てきます。これらが当たり前のものに感じられるわけです。その概念では、家とは「分けるもの」になります。境界線を引いて、この線からこっちはウチ、そっちはヨソという具合に。不動産とか、固定資産とかの考え方から生まれた、この近代的な「線引き」に、私たちは支配されすぎてやしないか? 近所や友人、社会とのつながりを持つことこそが重要なのに、まるで不動産のように、私たちは私たちの暮らしまでも、「分ける」「介入しない」「プライバシーを守る」「孤立する」方向で考えてしまっているのではないか?


みらいの「いえ」は「みんなのいえ」でありたいと考えます。家族とそれ以外の人々を「分ける」ためだけに、家があるわけではないし、そもそも人間だけの勝手な横暴は許されません。

みらいのいえ=近年の「いえ」が、分離、分割、核化、孤立化、専有化、単機能化であったのに対し、融合統合(ホリスティック)重ね合わせつながり複合化をイメージ。近年の住宅は、「リビング」という機能、ダイニングという機能、キッチンという機能、寝室という機能をそれぞれ高度化してきたが、みらいのいえでは再び逆の流れが起こる。

具体的には、生活の場=社会の場
住む、働く、休む、集う、遊ぶ、対話する、つくる、出会う、表現する・・・これらすべてを許す。そしてむしろ積極的に重ね合わせる場を実現させる。

ちょっと説明が抽象的で分かりにくいでしょうか。具体的に三浦では、次のようなコト(使われ方)が起こってほしいと考えています。オフィス、プレイヤード、釣り宿、イベントスペース、研修施設、店舗、畑、食堂、居酒屋・・・。 そして、それぞれの目的で集まった人たちが出会い、相互に刺激を与えることに、社会的な意義を感じています。

このことは、「巣」としての家にも好循環をもたらすと考えます。
複合的な場を家とすることで、子供たちは両親や親族以外の「いろいろな大人」と接する機会を獲得しますが、それこそがまさに、「多様な視点」を学習するまたとない機会だからです。

もっと上手く説明できるようにならなければいけませんね。
反省・・・

9 件のコメント:

  1. といしくみこです、お久しぶりです。

    先日、なぜか水梨さんのご実家で集まりがあったのですが
    そのご実家が建築家住宅なこともあり、
    恭一さんの計画も話題にしておりました。
    恭一さんの家について私もとても楽しみにしています!

    ところで、なぜ本名でブログをしていらっしゃるのですか?
    (だから発見できたわけですが)
    私も先日、2年半放置していた自分のブログに久々に書いてみて、
    なんだか前には感じなかった覆面的気持ち悪さ、書きにくさを感じたので
    そろそろ本名で書いてみてもいいかしらと思ったところです。

    理由があれば教えてくださいね。

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  2. くみこさん、お久しぶり!

    日本住宅教室(http://www.jutakukyoshitsu.com/)で学んだ事を活かして、My Homeづくりにはげんでます!そういう人間もいるよ、ということを、是非教室でも紹介してくださいね。

    この「みらいのいえ」に関しては、建築家と工務店と施主がそれぞれの視点でブログを書いているのがユニークなところで、直接お会いして話す内容と別のことが知れて、本人にとっても学びになっているのです。。。

    さて、本名ブログですが、うーん、よくわかりませんが、ニックネームだと続かないかなと思って。また、知り合いだけでなく、いろんな人に偶然発見してもらいたいという期待がありましたので、そうしました。

    くみこさんのブログも見ました。かなり頻繁にアップしていたんですね! きっと、更新頻度が落ちたということは、それだけ仕事(本業)がノッてきたということではないでしょうか。

    もし、よろしければ、私のブログからリンクを貼らせてもらってもいいですか??

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  3. 荒井さんの疑問には、たいへん共感します。

    GW休みの間に、今さらかと思いましたが、中谷巌の、グローバル資本主義推進者としての懺悔の書を読みました。ちょうど、「再生産可能ではないモノに価格をつけたところから資本主義は間違いを犯し始めた」という指摘のところがあって、具体的には、「土地、人間、お金(金融商品)」です。

    土地を売買できるとしたときに、「買った土地は好きなように使える」という考え方が生まれたそうです。それまでは、その土地で生まれ、その土地を守って生きていくのが当たり前だった、と。この資本主義の価値観は、何も守るモノがなかったアメリカ大陸のフロンティアに適合した考え方だったと指摘しています。

    日本は違うぞ、と。これからは、荒井さんのような感覚を持った日本人が、グローバルに影響力を出していくんだ、と言う主張でした。

    何度も同じコトを書いていたり、手前味噌な論理だったりと、あまり本としての質は高くありませんが、結構内容的には共感できるものでした。買うのが惜しかったら、お貸ししますので。

    のむら

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  4. 恭一さん

    お返事ありがとうございます。
    なるほど、確かに見つけることができました!笑
    そしてもちろん、どうぞどうぞ、リンクはってください!

    肝心のブログの内容について・・・お会いしてディスカッションしたいくらいですが、、、

    疑問1の後半について、
    法規というのは「最低基準」であること、そして、6年ほど前に「景観法」が作られたのも同様の疑問を持つ人が多かったからということ、をコメントさせてください。
    景観法も一助にしかなってはいないと思います、結局は、住む人ひとり一人の意識の高さと、近隣同士の良好なコミュニケーションが重要というところに行きつくようですが。

    疑問2について、
    住宅作家で有名だった方(清家清か宮脇檀かどちらかだったと思うのですが)の著書に、「家は意外と”だらだらすること”が一番多いのでだらだらできるように作りましょう」というようなことも書いてあったように記憶しています。
    でも、だらだらだけが目的ではだらしない感じですし、恭一さんのあげられているような色いろな機能をもたせた家は楽しそうですね!

    疑問3について
    マンションか戸建でも意識が違うと思うのですが、戸建なら、敷地境界線と思えば同じ問題ですよね?マンションは住んでいる年数が皆それほど違わないと思いますが、土地の場合は、この辺の考え方には地域によって大きな差がありますよね。
    私が引っ越して驚いたのは、ある暑い夏の日、うちの前を通っているだけの知らないおばさんが「ピンポーン」とやってきて、うちの前の沿道のつつじ(世田谷区所有のはず)の水やりが足りないのではと、注意してくださっちゃったりすることでした。この近辺では、庭があまりに荒れていると、文句を言われるようです。確かに、変な害虫が猛発生すれば、近所迷惑ですからね!
    この辺も都内にしては緑や畑がけっこう多く、疑問1の前半でおっしゃるように、自然や虫さんたちと共存しているところでは、人間が勝手に決めた権利もプライバシーも、厳格にはなり得ないのかもしれないですね。

    WOW!野村さん

    ご無沙汰しております!お元気ですか?
    中谷巌さん(息子が同級生M学科でした)の本、話題になっていましたね。読んではいないのですが、なんと、恭一さんの時代がくると主張しているということは、、、ちょっと興味でてきました!

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  5. のむらさん

    コメントありがとうございます。中谷巌の懺悔の本、まだ読んでいませんでした。今度ちらっと見せてもらって、買うか借りるか(笑)決めさせてもらおうと思います。

    「再生産可能ではないモノに価格をつけたところから・・・」
    という部分は、「なるほど!」と思いますね。ただし、何を「再生産可能」とし、何を「再生産不可能」と考えるかで、大きく解釈が変わってしまいそうな気がします。むしろ、あらゆる工業製品についても、「ホントに再生産可能なのか?」と疑ってかかるぐらいでちょうどいい気がします。。。

    荒井

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  6. くみこさん

    返信ありがとうございます。さっそくリンクを貼らせてもらいました。。。
    一つ一つのコメントに、プロとしてのエネルギーを感じます。ありがとう。

    「肝心のブログの内容について・・・お会いしてディスカッションしたいくらいですが・・・」
    いえいえ。論客のくみこさんには太刀打ちできそうにありませんので、是非いろいろとアドバイス&コメントくださいね。

    ところで、日本住宅教室でも、建築のテクニカルな部分ではなくて、家とは何か?みたいな集中講座があってもよいかもしれませんよ。人が集まるかどうかはともかく。。。私はそれなら参加したいです!

    荒井

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  7. 恭一さん

    コメント長すぎてごめんなさいっ(汗
    アップして見たらありえないほど長文すぎて、
    削ろうと思ったのですが、、、
    コメントを消す方法が見つけられず。
    ごめんなさい~~

    「家とは何か」
    これはきっと100人100通りの答えが出そうですね、人それぞれ自由にとらえていいものだし時代で変化するものとも思いますが、そのいろんな考えを知っておきたい、議論したいっていう方は意外といるかもしれませんね。
    ご意見をありがとうございます。

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  8. あと、リンクありがとうございます。
    住宅教室HPのことかと思っていましたが、
    kumikoブログをリンクしてくださったんですね?!
    こんなにきちんとした内容のブログからのリンク。恐縮です。

    こちらからもリンクさせていただきますね。

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  9. くみこさん

    ありがとうございます!
    住宅教室の方ももちろん、リンクさせてもらいます。
    これからもよろしく。。。

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