2009年5月8日金曜日

「奇跡のリンゴ」にはまりました



木村秋則さんという、青森県のりんご農家の半生を書いた書籍です。絶対に不可能と言われた、「リンゴの無農薬栽培」、しかも無肥料栽培に成功したサクセス・ストーリです。
そういえば、数年前の台風で青森県のりんごが大打撃を受けたときに、一カ所だけ、ほとんど被害が出なかった、という噂話を聞いたことがありましたが、それこそが木村さんの畑だったようです。でも、中身はサクセス・ストーリというよりも波瀾万丈ストーリー。だって、農家なのに10年近くも、ほとんど収穫ゼロの時代があったほどですから。

何度もあきらめようと思った。でも、もうあきらめるパワーも残っていなかったという感覚だったのではないでしょうか。木村さんは自殺を決意して、首を吊るために山へ登る・・・
そして、・・・その山の奥深くで、大きなヒントを得るのでした。

自然界は大きなつながりの中にあります。害虫とか益虫とか、人間が勝手に名付けた分類にすぎません。だって、害虫ってのはたいていが、葉っぱを食べる虫、つまりベジタリアンですよね。益虫というのは、そういう害虫を食べる虫、つまり「肉食」です。どうですか?呼び方一つで印象が変わりますよね? 木村さんも本の中で、害虫をよくよく見てみたところ、「ほんとに可愛い顔をしている。とても殺せない」とおっしゃっていました。どんな生物にも「天敵」がいて、だからこそ数が抑えられるんですね。肥料を人工的に与えたり、薬を使ったりすることで、逆にバランスが崩れ、害虫が大量発生したりする。それは持続可能な農業とは言えません。20世紀の農業が、農薬を使って、自然と切り離して工業的に作物を作って来たものだとすれば、自然の生態系を理解し、自然とのつながりを取り戻すことこそが、21世紀型の新農業の型と言えるかもしれません。

そしてその結果として、人間の暮らしの「安心や健康」がもたらされる。そんなふうに考えています。私が三浦に来たのも、そんな「つながり」を取り戻すためなのかもしれません。

1 件のコメント:

  1. この話はとても興味深いですね。循環型社会の話としても、またアイデアが生まれる瞬間についての話としても。

    たしかに、「つながっている」ことに気づいた瞬間にイノベーションが起きることは多いと思います。昨日もちょうど、自動車部品メーカーの役員さんと話をしていて、彼らの行動基準の第一が「お客様志向」で、そのあといろいろあって、最後の10番目が「三現主義」なのですが、この二つが社員の間でつながっていない、と。未だに現場と言えば、物作りの現場をイメージしてしまう。お客様志向と三現主義がつながるってことは?という刺激を与えることが、彼らのイノベーションにつながるんだな、と感じたことを思い出しました。

    返信削除