2009年5月18日月曜日

木を見に、山へ行く(2)

5/16 天竜川の上流に向かった、「木」見学ツアーの続編です。

今回見学したのは、次の3か所。
1. 山
2. 製材所
3. プレカット工場

ここでは、最後に訪問したプレカット工場をご紹介します。

現 在、どこかの製材所で丸い顔から四角い顔になった木材は、たいていその後、「プレカット工場」というところに運ばれます。ここでは、それぞれの住宅の詳細 な設計に従って、どこの部分に使うか、どのような木の組み方をするのか、などが一本一本決められて行き、設計図に従って、機械カットが行われます。

大 工さんが現場で手でカットするのを「手刻み(てきざみ)」と呼ぶのに対し、工場で予め機械によって寸法通りにカットしていくのを「プレカット」と呼ぶわけ です。 ですから、プレカット工場でカットされる一つ一つの木はもうすでに、「●●邸の2階の梁の・・・」という風に、場所がきちんときめられてありま す。


実は、残念だなぁと思うことが一つありました。これは読者の皆さんにもぜひお知らせしたいことなんです。 プレカット工場で 処理されている木材の大半は、無垢材ではなく、集成材であるということです。これは実際に現場で見てもそうだなと分かりました。集成材は、複数の無垢板を 接着剤で貼り合わせて、一枚の板のように見せている、いわば偽物の木です。無垢材が生きた材であるのに対し、集成材は死んだ材です。

では、なぜ建築に集成材が好んで選ばれるのか。
「安いから。扱いやすいから。暴れにくいから(反ったり、割れたりしにくいから)。」
価 格のこともないわけではありませんが、それよりも、「反ったり、割れたりするものは、施主が嫌うから」なんだそうです。確かに、無垢板は乾燥が進むにつれ て、「パキッ」など大きな音を立てて割れたりします。その後も、季節の変化(温度・湿度の変化)によって、反りがおこったりします。しかしこれは、生きて いる木の表現であって、構造上の不具合ではまったくありません。

本当は無垢材の方が、粘りがあって強度があって、しかも香りがよく、人間 の体にとって健康なのに。。。本当の健康、丈夫さよりも、見た目の曲がりにくさ、反りにくさ、扱いやすさの方を、知らず知らずのうちに私たちが選んでし まっているとすると、これは大きな構造的な社会問題です。

わかっていたことではありますが、必要なのは
  「施主側の意識改革
なのですね。

プレカット工場では、このほか、乾燥の仕方でどこがどんな風に変わるのかなど、現物を見ながらのミニ勉強会が開かれ、家族一同大きな学びを得てまいりました。



プレカット工場のラインです。


このように、一本一本、カットされる形は異なります。


さて、上の二つの写真、切り口を見て、違いが分かりますか?
無垢材と集成材です。


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